サロマ湖の環境とホタテガイ養殖 -時化による堆積物表層の有機物の上方輸送-

書誌事項

タイトル別名
  • Oceanographic Environment and Scallop Cultivation in Saroma-ko Lagoon
  • サロマ湖の環境とホタテガイ養殖--時化による堆積物表層の有機物の上方輸送[含 質疑応答]
  • サロマコ ノ カンキョウ ト ホタテガイ ヨウショク シケ ニ ヨル タイセキブツ ヒョウソウ ノ ユウキブツ ノ ジョウホウ ユソウ ガン シツギ オウトウ

この論文をさがす

抄録

「時化の多い年はホタテガイの育ちがよい」というサロマ湖の漁業者の俚をもとに,ホタテガイの料補給機構のひ とつとして粒状有機物の時化による海底あるいはその近傍からの再懸濁と上方輸送を考え,その実態を明らかにするために係留測器による連続観測と1日1回の船舶を用いた定点観測を行った.観測の結果,時化によって乱流が発達するために水温・塩分の鉛直分布は一様になり,懸濁物質量や粒状炭素,還元的環境で形成されると考えられる粒状硫黄,珪藻細胞数などの粒状物質が増加した.また増加した珪藻の多くは底生性種の死細胞であること,数は少ないものの時化とともに汽水性底生性珪藻の生細胞が出現したこと,が明らかになった.これらの事実は,時化によって湖底あるいはその近傍から粒状有機物が再懸濁し,垂下養殖されているホタテガイにも利用可能な浅い深度まで輸送されたことを明瞭に示している.

収録刊行物

  • 沿岸海洋研究

    沿岸海洋研究 49 (1), 23-30, 2011

    日本海洋学会 沿岸海洋研究会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ