回腸原発の小児悪性リンパ腫による腸重積の一手術例

書誌事項

タイトル別名
  • 症例 回腸原発の小児悪性リンパ腫による腸重積の一手術例
  • ショウレイ カイチョウ ゲンパツ ノ ショウニ アクセイ リンパ シュ ニ ヨル チョウジュウセキ ノ イチ シュジュツレイ
  • A surgical case of an intussusception caused by a childhood malignant lymphoma of the terminal ileum

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抄録

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症例は3歳8か月の男児。前日からの間歇的腹痛を主訴に,2010年8月19日に当院小児科受診し超音波検査にて,腸重積を疑われ小児外科紹介となった。腸重積の診断で注腸整復を行うも整復できず緊急手術を施行。先進部となった回盲部に弾性硬の腫瘤性病変を触知し,腸間膜リンパ節の腫大も認め,悪性リンパ腫が疑われたため回盲部切除術を施行。術後にびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫と診断され,化学療法の早期開始を目的に,7病日で小児血液腫瘍の臨床試験参加施設へ転院した。小児悪性リンパ腫は小児期悪性腫瘍の約7-8%を占め,その一部には腸重積で発症する症例も文献上散見される。2000-2010年の本邦文献報告による小児悪性リンパ腫の腸重積手術症例は32例あり,自験例を合わせた33例で検討を行った。腸重積発症時の平均年齢は7.9歳と特発性腸重積より高く,性差では男児27例女児6例と男児に多かった。病脳期間は,3日以内の急性発症例が5例認められた一方で,病脳期間の長い症例も多数認められ2週間未満3例,2か月未満7例,2か月以上5例であった。術前診断は困難であることが多く,半数以上が特発性の腸重積の診断で,何らかの器質的疾患を疑ったのが41%,悪性リンパ腫と診断されたのは2例のみで全体の7%と少数だった。術式は回盲部切除術がほとんどを占めていた。術後治療と予後に関しては,29例中28例で術後に化学療法を追加しており,予後については記載明瞭な8症例全例で無再発生存中という結果であった。以上から,術前や術中所見で悪性リンパ腫による腸重積が疑われた場合は,侵襲を最小限とし早期に化学療法を開始することが重要であると考えられた。

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