末期腎不全予防対策: メタボリックシンドローム腎症の提唱- 千葉県立高校生検尿システム20年間の解析を基礎にして-

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タイトル別名
  • マッキ ジンフゼン ヨボウ タイサク : メタボリックシンドロームジンショウ ノ テイショウ : チバ ケンリツ コウコウセイ ケンニョウ システム 20ネンカン ノ カイセキ オ キソ ニ シテ
  • Preventive strategy for end-stage-renal-failure: A proposal of metabolic-syndrome-nephropathy on the point of high-school-urinalysis in Chiba prefecture for 20 years

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抄録

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一般成人の慢性維持透析を要する末期腎不全患者が増加し続けている。その背景には,世界的に激増しているメタボリックシンドロームがある。メタボリックシンドロームの最上流にある肥満は高血圧・脂質異常・高血糖をドミノ式に伴って,心血管病や慢性腎臓病の動脈硬化性疾患を誘発させる。この病態の流れを持ち,腎障害を伴った代表的7症例を具体的に提示する。これらの症例の共通点は,臨床像ではメタボリックシンドロームの定義を満たし,かつ腎病理像では腎内動脈硬化病変を示すことである。これらの基準を満たす症例をメタボリックシンドローム腎症と呼称することを提唱する。従来,糖尿病性腎症・良性腎硬化症・肥満関連糸球体症と診断されてきた多くの症例は,メタボリックシンドローム腎症と置き換えることが出来る。メタボリックシンドローム腎症と診断することの利点は,病態の理解,適正な治療,適切な予防対策が出来ることである。過去20年間,我々が実施してきた思春期後期である千葉県立高校生の検尿システムはメタボリックシンドローム腎症の早期発見と早期治療に有用である。このシステムを活用することによって,増加し続ける末期腎不全症例を大幅に減少させ得ることが期待出来る。 なお,2011年10月に,日本肥満学会が発表する「肥満症診断基準ガイドライン2011」(新診断基準)に追加された「肥満関連腎臓病」は本論文で提唱している「メタボリックシンドローム腎症」とほぼ同一のものと考える。

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