合鴨の屋外飼育における獣害防除

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タイトル別名
  • Protection of free-ranging Aigamo ducks from injurious animals
  • アイガモ ノ オクガイ シイク ニ オケル ジュウガイ ボウジョ

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抄録

本研究では,合鴨農法における鳥獣害防除マニュアルの確立に向けた基礎的知見を得ることを目的として,各種電気柵((1) 電気柵区: E区,(2) 電気柵およびネットの併用区: E+N区,(3) 電気柵,ネットおよび遮蔽シートの併用区: E+N+S区)に対するニホンイタチ(以下,イタチ,Mustela itatsi)の行動反応から効果的な電気柵の設置方法を探るとともに,これを屋外飼育場に設置した場合の合鴨の野生鳥獣による被害の発生状況(とくに,イタチ)を明らかにした。得られた結果は以下のとおりである。1) 電気柵(電線の高さ: 10および15cmの2段)内に誘引餌としての市販鶏肉を提示した場合,E区およびE+N区においては,イタチは電線に接触したにもかかわらず,柵内に侵入し,提示した鶏肉を採食した。これに対し,E+N+S区においては,イタチによる鶏肉の採食は皆無であった。2) E+N+S区を設けた合鴨屋外飼育場の周辺では,イタチに加え,アナグマ(Meles meles anakuma),キツネ(Vulpes vulpes),タヌキ(Nyctereutes procyonoides)およびネコ(Felis catus)が観察されたものの,これらによる被害は皆無であった。その一方で,大型猛禽類のオオタカ(Accipiter gentilis)による合鴨の被害がみられた。以上より,電気柵にネットおよび遮蔽シートを併用し,捕食対象物を視覚的に遮断することで高い獣害防除効果が得られることが明らかとなった。

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