アグロバクテリウム法による形質転換ダイズ作出技術の現状

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タイトル別名
  • Current situation of Agrobacterium-mediated soybean transformation techniques
  • アグロバクテリウム法による形質転換ダイス作出技術の現状
  • アグロバクテリウムホウ ニ ヨル ケイシツ テンカン ダイスサクシュツギジュツ ノ ゲンジョウ

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抄録

アグロバクテリウム法による形質転換ダイズ作出の成功が報告されてから23年の間に進められた形質転換技術の進展と現状についてまとめた。アグロバクテリウム法によるダイズの形質転換には、未熟子葉から誘導される不定胚や、発芽種子の子葉節が利用されてきたが、様々な品種に適用しやすいという理由から発芽種子の子葉節にアグロバクテリウムを感染させる手法が現在の主流である。形質転換効率の向上を目的として、高感染性のアグロバクテリウムを利用することに加えて、感染効率を上げる手法(ダイズ組織の傷つけ処理やチオール化合物の共存培養培地への添加等)も開発され利用されている。また、選抜薬剤として以前はカナマイシンを用いる例が多かったが、現在ではハイグロマイシンや、グルホシネート等の除草剤も使用されている。これらの改良が行われたことにより、これまでに複数の米国品種や中国品種、数種の日本品種等で形質転換ダイズの作出が可能となった。形質転換効率(得られた形質転換体系統数/感染に用いた外植片数×100%)は1%未満から15%前後とまだ大きな差があるものの、目的に応じて品種を使い分けることも可能な状態となりつつある。さらに、形質転換効率の向上がもたらされたことにより、マーカーフリーダイズの作出法や特定遺伝子への変異導入法が開発される等、特に米国品種を用いて形質転換技術の高度化が進んでいる。日本品種の形質転換技術については、環境ストレス耐性付与等を目的とした応用研究へ利用できる水準ではあるが、効率の向上や適用品種数増加の余地があることから、今後さらに改良を行う必要があると思われる。

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