昆虫の化学感覚器に発現するイオノトロピック型化学感覚受容体

  • 佐藤 幸治
    東京大学生産技術研究所 機械・生体系部門・ERATO竹内バイオ融合プロジェクト

書誌事項

タイトル別名
  • Ionotropic chemosensory receptors expressed in insect olfactory and gustatory systems
  • コンチュウ ノ カガク カンカクキ ニ ハツゲン スル イオノトロピックガタ カガク カンカク ジュヨウタイ

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抄録

外界の化学物質は,五感のうち,嗅覚と味覚によって受容,識別される。この2つは合わせて化学感覚と呼ばれ,動物が最初に獲得した外界を認識する感覚系である。化学感覚が認識する化学物質は数十万ともいわれ,その多様性に対応するため,化学感覚受容体は遺伝子中で最も大きなファミリーを構成している。線虫から高等脊椎動物に至るまで,化学感覚受容体のほとんどはGタンパク質共役型受容体ファミリーに属しており,受容した化学物質の情報はGタンパク質シグナル伝達経路を経て,その下流のイオンチャネルが活性化されることで電気信号へと変換される。しかし昆虫の嗅覚受容体や味覚受容体はGタンパク質共役型受容体と共通の7回膜貫通構造を持ちながら,匂いや味物質で直接活性化されるイオンチャネルを構成することが明らかとなった。また神経伝達物質のイオノトロピック型受容体が,昆虫では化学感覚受容体へと進化していることも明らかになった。一方で,昆虫の化学感覚におけるGタンパク質シグナル伝達経路に関する知見は,断片的である。本稿ではこの昆虫にユニークな,化学感覚受容体として機能しているリガンド活性型イオンチャネルについて述べる。

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