房室中隔欠損症根治術後の左側房室弁逆流

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  • Left Atrioventricular Valve Regurgitation After Correction of Atrioventricular Septal Defects

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抄録

目的:房室中隔欠損症(AVSD)根治術後の進行性の左側房室弁逆流は,本疾患に対する外科治療 における最も重要な問題点である.本研究において,当施設におけるAVSD 根治術症例術後の左 側房室弁逆流,および左側房室弁に対する再手術に検討を加える.方法:1990 年1月から2011 年5月までに49 例に対しAVSD の根治手術を行い,うち4例に左側房室弁に対する再手術を行った.同時期に1990 年より以前に根治術を受けた5例に対し,左側房室弁に対する再手術を行った.本研究では,これらすべての症例に検討を加え,左側房室弁逆流発生の原因を考察し,この問題に対しいかに対処すべきかに言及する.結果:初回根治術後早期死亡を4例(8.6%)に認めたが,遠隔死亡はなかった.再手術後は早期死亡,遠隔死亡とも認めなかった.再手術では,6例に左側房室弁の再形成を行い,3例に人工弁置換術を行った.再形成の6例において,裂隙の再閉鎖と,交連部における弁輪縫縮術を行った.再形成の6例において,有意な左側房室弁逆流の再発を認めていない.AVSD 初回根治術後の累積生存率は10 年,15 年で92%であった.初回根治手術生存例における,左側房室弁に対する再手術からの回避率は,10 年,15 年で81%であった.初回根治術後の有意な左側房室弁逆流からの回避率は10 年で46%であった.Gore-Texグラフトを用いた部分弁輪縫縮術は有用であった.結語:AVSD に対する初回根治術の成績は,死亡率,再手術回避率の点で満足すべき結果であったが,術後の有意な左側房室弁逆流からの回避率は不満足な結果であった.左側房室弁に対する再手術の成績は満足すべきものであった.Gore-Tex グラフトを用いた部分弁輪縫縮術は,術後左側房室弁逆流発生を減少させる可能性を有する有用な方法であると考えられた.

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