多重折りハムストリングスを使用した陳旧性アキレス腱断裂およびアキレス腱再断裂の治療成績

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タイトル別名
  • タジュウオリ ハムストリングス オ シヨウ シタ チンキュウセイ アキレスケン ダンレツ オヨビ アキレスケン サイダンレツ ノ チリョウ セイセキ
  • Treatment outcome of chronic achilles tendon rupture or achilles tendon rerupture using

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抄録

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アキレス腱断裂は日常しばしばみられる外傷である。新鮮例に対する治療により良好な治療成績が得られるため,陳旧例に遭遇することは稀であり治療の報告は少ない。当科においてこの9年間に15例の陳旧性アキレス腱断裂および再断裂を経験し,全例自家遊離腱移植術を施行した。ここにその成績を報告する。 対象の年齢は平均42.9歳であり性別は男性12例,女性3例であった。術式は神中法に準じたが移植腱をより強靭とするために多重折りとした方法(ハムストリングス多重法と称する)で行った。腰椎麻酔施行後,腹臥位で移植腱(半腱様筋腱14例,薄筋腱1例)を鵞足部より採取し,多重折りにしアキレス腱健常部両断端に移植腱の両端を挟み縫合した。後療法は術直後から健側同等の自然下垂位で膝下ギプス固定を施行し平均40.7日固定した。ギプス除去後は術後平均75.2日で全荷重を開始した。平均経過観察期間は48.2カ月であった。日本足の外科学会足関節・後足部判定基準は平均97.8点,健側との最大下腿周囲径の差は平均-6㎜であった。片側爪先立ちは平均6.1カ月で全例可能となった。陳旧性アキレス腱断裂には多くの術式があるが,神中法以外は長い皮切が必要であり筋力低下が著明になるものや繁雑なものが多い。神中法は腹臥位で膝窩部より半腱様筋腱を採取するため移植腱が短く1重で移植しているのに対し,ハムストリングス多重法の特徴は腹臥位で鵞足部より半腱様筋腱を採取することにより十分な長さの移植腱を採取することができ,それにより多重折りでの移植が可能となり,十分な強度が得られると考えられた。これにより良好な術後成績が得られているものと考えられた。

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