植物のRNAサイレンシングとウイルスの病徴誘導

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タイトル別名
  • RNA silencing and viral disease induction in plants
  • ショクブツ ノ RNA サイレンシング ト ウイルス ノ ビョウチョウユウドウ

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抄録

RNAサイレンシングは植物のウイルス抵抗性に重要な役割を果たしている.多くの植物ウイルスはこれに対するカウンター攻撃としてRNAサイレンシングサプレッサー(RSS)を生産する.最近の研究から,RNAサイレンシングは植物の病徴発現に深く関与することが明らかになってきた.例えば,植物の組織や器官の分化にはmiRNAによる遺伝子発現制御が関わるが,この制御機構はウイルスのRSSによって乱され,ウイルス感染植物は奇形症状を現す.植物ウイルス病で典型的なモザイク症状は,RSSと宿主サイレンシングの攻防の結果として説明される.また,特殊な例として,ウイルス由来のsiRNAが偶然に宿主の特定の遺伝子にサイレンシングを誘導し,それが病徴発現につながる場合もある.植物だけでなく動物においても,宿主とウイルスの相互作用(病気の誘導)に果たすRNAサイレンシングの役割は注目されており,ウイルス防御戦略の構築へ導く重要なメカニズムとして考えられている.

収録刊行物

  • ウイルス

    ウイルス 62 (1), 19-26, 2012

    日本ウイルス学会

参考文献 (59)*注記

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