原発性腟平滑筋肉腫の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of primary leiomyosarcoma of the vagina
  • 症例報告 原発性腟平滑筋肉腫の1例
  • ショウレイ ホウコク ゲンパツセイチツヘイカツキン ニクシュ ノ 1レイ

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抄録

原発性腟肉腫は腟原発悪性腫瘍の約1~2%を占めるきわめてまれな疾患である.今回われわれは原発性腟平滑筋肉腫の1例を経験したので報告する.症例は78歳,4年前に検診で子宮筋腫を指摘され精査目的に当科初診,膀胱を圧排する6cm大の腫瘤を認めた.子宮内膜組織診でatypical epithelium,MRIでは変性を伴う子宮筋腫を疑われ厳重に経過観察の方針となったが,以後は受診しなかった.4年後,排尿困難を主訴に泌尿器科を受診し,骨盤内腫瘤の診断にて当科紹介となった.MRIでは腫瘍は9cm大と4年前と比較して増大,PETでも同部位に強い集積を認めた.CTでは骨盤リンパ節の腫大を認めた.子宮肉腫,もしくは膀胱子宮窩原発の悪性腫瘍の疑いにて開腹術を施行した.腫瘍は腟前壁から発生しており,子宮と連続性はなかった.また腫瘍は膀胱,右骨盤壁と強固に癒着していた.腫瘍を子宮および前腟円蓋と一塊として摘出したが一部残存した.病理組織検査では腟原発の低分化型平滑筋肉腫,骨盤壁に肉腫残存の可能性あり,と診断された.術後化学療法としてGEM/DTX療法を6サイクル行い,現在に至るまで14カ月間残存病変の増大や新たな再発病変は認めていない.一般に腟肉腫の診断は難しいとされているが,鑑別診断と適切な治療方針を決定することが重要である.〔産婦の進歩64 (3):308-313, 2012(平成24年9月)〕

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