細胞質型プロスタグランジンE2合成酵素

書誌事項

タイトル別名
  • サイボウシツガタ プロスタグランジン E ₂ ゴウセイ コウソ

この論文をさがす

抄録

代表的な生理活性脂質のひとつであるプロスタグランジンE2(PGE2)は3段階の酵素反応により生合成される。本総説では、その最終段階に関わる酵素のうち細胞質型PGE2合成酵素(cPGES/p23)に焦点を当て、筆者らのこれまでの研究成果を中心に解説する。まず、筆者らはエンドトキシンを投与したラット脳可溶性画分から本酵素を同定し、一次構造を決定した。また、本酵素が熱ショックタンパク質Hsp90との結合およびタンパク質キナーゼCK2によるリン酸化を受けて活性化することを明らかにした。本酵素の欠損マウスは周産期致死であり、新生児の肺と皮膚に顕著な異常が見いだされた。マウス胎児より調製した線維芽細胞を用いた解析により、cPGES/p23の欠損はPGE2の不活性化を行う酵素である15-hydroxyPG dehydrogenase(15-PGDH)の発現低下を引き起こすことを明らかにした。本現象はPGE2の生合成に関与する酵素であるcPGES/p23が、PGE2の分解系に関わる酵素の発現を調節し、生体内のPGE2濃度を適正に制御するキータンパク質であることを示唆している。(著者抄録)

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ