FMR1遺伝子前異変の神経画像研究

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タイトル別名
  • Neuroimaging Studies of FMR1 Premutation
  • FMR1 イデンシ ゼン イヘン ノ シンケイ ガゾウ ケンキュウ

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抄録

FMR1(fragile X mental retardation 1)は,遺伝性の精神発達障害である脆弱X症候群(fragile X syndrome)の原因として知られているが,近年,同遺伝子の前変異(premutation)キャリアにおいて,FXTAS(fragile-X associated tremor and ataxia syndrome)とよばれる主に中年期以降に発症する運動障害・精神障害を中核とする神経変性疾患が報告された。本稿では,FXTAS 患者および未発症のFMR1前変異キャリアを対象に,構造MRI・拡散テンソル画像法・機能的MRIを用いた神経画像研究の最新の知見を紹介する。MRIを中心とした神経画像研究により,従来知られていた小脳や大脳辺縁系だけでなく,大脳皮質の異常を含むFXTASに特有の脳構造・機能異常のパターンが同定された。また,これらの異常は,FXTAS 発症前のFMR1前変異キャリアにおいても部分的に観察された。さらに,CGG繰り返し数や FMR1 mRNA発現レベルなど,FMR1に関連した遺伝子・分子変数と有意な相関を示す脳画像的指標が同定された。FMR1前変異に関するこれらの画像的知見は,精神機能障害に関わる遺伝子・分子的プロセスと神経システムの関係について,脳画像研究が大きな知見をもたらすことを示している。

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