米の鮮度計測用μTASの開発

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  • Development of a μTAS for Evaluating Rice Freshness

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抄録

米に含まれる脂質は貯蔵過程でリパーゼの作用により容易に分解され脂肪酸を遊離することから,本研究では米の鮮度の指標として脂肪酸度を測定するμTAS を試作した。試作したμTAS のサイズは 11 mm ×45 mm であり,ガラスの基盤上にポリジメチルシロキサンシート(PDMS)を溶着し,同プレートに2つのインジェクションポート,マイクロチャネル,定容量化セル(液溜め),およびΦ4.0 mm 反応セル等を形成した。シリンジを経由してマイクロポンプでそれぞれのインジェクションポート注入された水酸化カリウム溶液と空気はマイクロチャンネルで合流し,容積の異なる複数の液滴を形成する。マイクロチャンネル中の液滴は液溜めに進み,定容量の大液滴が形成される。次いで大液滴は空気プラグの働きにより反応セルに導入され,前処理で米に含まれる脂肪酸を抽出した溶液と混合し,導入された大液滴の量に応じて米サンプルの中に加えた pH 指示薬としたフェノールフタレインの変色反応が生じることとなる。試作μTAS の1回の測定に要する時間は概ね2分間である。試作μTAS の性能を検証するため2005年から2010年にかけて収穫された玄米と精米の脂肪酸度を測定した。またμTAS による測定に合わせて従来の鮮度測定技術である中和滴定法による測定を行い,測定した脂肪酸度の比較検討を行った。その結果,両者の測定値の間には高い相関(R2=0.980~0.984)が認められ,μTAS による米の鮮度測定の可能性が検証された。

収録刊行物

  • 農業施設

    農業施設 43 (3), 97-103, 2012

    農業施設学会

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