好塩基球研究のルネッサンス

  • 吉川 宗一郎
    東京医科歯科大学大学院,医歯学総合研究科免疫アレルギー学分野
  • 烏山 一
    東京医科歯科大学大学院,医歯学総合研究科免疫アレルギー学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Emerging Roles for Basophils in Immune Responses
  • コウエンキキュウ ケンキュウ ノ ルネッサンス

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抄録

好塩基球は,末梢血白血球のわずか0.5%を占めるに過ぎない極少細胞集団であるが,進化的に多くの動物種で保存されており,その存在も古くから知られている顆粒球の一種である.しかし,アレルギーの原因細胞として注目されてきたマスト細胞と特徴が多く共通しているため,好塩基球はマスト細胞のバックアップ的存在であると考えられ,長い間ほとんど研究の対象とされることはなかった.ところが近年,好塩基球を解析するツールが次々と開発され,これまで知られていなかった好塩基球のユニークな働きが次々と明らかにされた.まさに,好塩基球研究のルネサンス時代の到来といってもよい.今では好塩基球は,マスト細胞とは全く異なる固有の機能を有した,慢性・即時性アレルギー,および,寄生虫感染にも重要な役割を果たす,Th2型反応のキープレーヤーとして認知される存在である.

収録刊行物

  • 化学と生物

    化学と生物 50 (10), 717-722, 2012

    公益社団法人 日本農芸化学会

参考文献 (34)*注記

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