鏡面反射点拡がり関数による白紙光沢の解析(第2報)

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タイトル別名
  • 鏡面反射点拡がり関数による白紙光沢の解析(第2報)白紙光沢の空間周波数解析
  • キョウメン ハンシャテン ヒロガリ カンスウ ニ ヨル ハクシ コウタク ノ カイセキ(ダイ2ホウ)ハクシ コウタク ノ クウカン シュウハスウ カイセキ
  • ―白紙光沢の空間周波数解析―

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抄録

光沢感は反射光量のみならず,その表面が鏡のように写しだす反射像の鮮鋭さに影響を受けることは経験的に知られている。このような評価は,画像工学では,鮮鋭さとして解析技術が確立されている。代表的な鮮鋭さの解析技術は,MTFを用いた空間周波数解析である。しかし,光沢のような印刷用紙の鏡面反射現象についてMTFを用いた解析はほとんど知られていない。<BR>著者らは,鏡面反射現象の物理特性として,鏡面反射点拡がり関数(SR―PSF)を提案し,この測定装置を開発し,印刷用紙を中心に鏡面反射点拡がり関数の測定とその解析について報告した(第1報)。本研究では,鏡面反射点拡がり関数から,鏡面反射MTF(SR―MTF)を求め,白紙光沢の空間周波数解析を試みた。<BR>SR―MTFを定義し,印刷用紙のSR―MTFを測定した。75度の鏡面反射において,SR―MTFは光の入射方向に解像力が低く,幅方向に解像力が高い扁平な2次元分布を有する特徴を明らかにした。印刷用コート紙では光沢が高いものでも空間周波数約1.0程度までしかSR―MTFが値を持たないことを明らかにした。<BR>像鮮明度(JIS―K7374)とSR―MTFは基本的に同じ物理特性を測定しているが,現状の像鮮明度が測定する空間周波数の範囲が高周波すぎるため,低い空間周波数でしか値を持たない印刷用紙の測定には向かないことを明らかにした。提案したSR―MTFは,少なくともコート紙のような白紙光沢の空間周波数解析には像鮮明度より利点が多い。<BR>PSFとMTFは画像工学の基本的な解析ツールである。SR―PSFとSR―MTFを導入したことにより,鏡面反射現象を物理的に解析できるようになった。今後は,これらの情報から新しい反射モデルの検討を行い,コンピュータグラフィックスへの展開を進めたい。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 66 (12), 1416-1424, 2012

    紙パルプ技術協会

被引用文献 (3)*注記

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参考文献 (14)*注記

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