小児期鼠径ヘルニア手術における再発症例からの検討

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タイトル別名
  • A Study on Infantile Inguinal Hernia Surgery in Recurrent Patients
  • ショウニキ ソケイ ヘルニア シュジュツ ニ オケル サイハツ ショウレイ カラ ノ ケントウ

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抄録

【目的】近年,小児鼠径ヘルニアは鏡視下による手術法が広まりつつあり,その手術手技も従来のPotts法一辺倒から新しい流れが生まれつつある.しかしながら,その歴史は浅く今後の課題も決して少なくはない。今回小児鼠径ヘルニア術後再発症例を検証することで,従来行われてきた術式を再検討すると同時に新しい術式に対する今後の課題を考察した.【方法】1998年7月から2011年12月までに当科で経験した小児鼠径ヘルニア術後の再発症例18例を,小児期に再発を認めた症例8例,成人になってから再発した症例10例に分け,それぞれに対し再発形態を中心に検討した.【結果】小児期に再発した症例中7例はテクニカルエラー,1例は内鼠径輪の破壊に伴う再発であった.成人期での再発症例では5例が内鼠径ヘルニアでの再発4例が外鼠径ヘルニアでの再発.1例が大腿ヘルニアであった。外鼠径ヘルニア4例のうち2例は鼠径管が開放された痕跡がなかった.1例は高位結紮されていたが,ヘルニア嚢は離断されておらず,内腔は開存しており末梢ヘルニア嚢内には水腫も形成されていた.もう1例は内鼠径輪に術後の痕跡は認められたが,ヘルニア嚢は開存していた.【結論】小児鼠径ヘルニアの手術法は高位結紮が基本であり,後壁補強は必要ないとされてきた.しかし,ヘルニア嚢の高位結紮を行う際内精筋膜も同時に縫縮し切離するため,成人手術のMarcy法に準じているものと思われる.内鼠径輪が開大し破壊された症例では内鼠径輪の縫縮を追加することと,高位結紮にこだわるあまり過度にヘルニア嚢を剥離することによって内鼠径輪や鼠径管後壁を破壊しないように注意することが再発予防に効果的であると考えられた.

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