膿痂疹様皮疹を契機に診断した補体 C9 欠損症の 1 例

  • 壷井 聡史
    広島大学大学院医歯薬保健学研究院皮膚科学
  • 三原 祥嗣
    広島大学大学院医歯薬保健学研究院皮膚科学
  • 岩本 和真
    広島大学大学院医歯薬保健学研究院皮膚科学
  • 信藤 肇
    広島大学大学院医歯薬保健学研究院皮膚科学
  • 秀 道広
    広島大学大学院医歯薬保健学研究院皮膚科学
  • 望月 満
    もちづき皮ふ科・アレルギー科医院
  • 畑中 道代
    神戸常盤大学保健科学部医療検査学科
  • 北野 悦子
    神戸常盤大学保健科学部医療検査学科
  • 北村 肇
    関西福祉科学大学健康福祉学部福祉栄養学科

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of C9 Deficiency Associated with Impetigo Contagiosum-like Eruptions
  • 症例 膿痂疹様皮疹を契機に診断した補体C9欠損症の1例
  • ショウレイ ノウカシンヨウ ヒシン オ ケイキ ニ シンダン シタ ホタイ C9 ケッソンショウ ノ 1レイ

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抄録

6 歳,男児。初診の 8 ヵ月前より全身に米粒大から小豆大の紅色漿液性丘疹が出現した。伝染性膿痂疹として加療されたが難治であった。初診時には一部に小水疱や痂皮を伴う米粒大から小豆大の紅色丘疹を両膝,両肘に認めた。右肘の生検組織では表皮に軽度の肥厚と海綿状変化があり,真皮は全層にわたって血管周囲性に稠密な好中球,リンパ球の浸潤と血管内皮細胞の膨化,フィブリン析出がみられ,血管炎が示唆された。血清補体価 (CH50) は検出感度以下であったが,C3,C4 は正常範囲であった。EDTA 採血での血漿補体価も 9.4 U/ml と低値であり,補体成分の欠損症を疑いさらなる検索を行った。マイクロプレート法による CH50 は健常人プール血清 (NHS) の 24%であり,低イオン強度緩衝液にて測定すると NHS の 4%まで低下し,C9 欠損症が示唆された。さらに各補体成分の活性を測定するとC9 のみ0 SFU/ml であり,精製 C9 を添加すると CH50 の溶血活性は回復した。以上より自検例を C9 欠損症と診断した。

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 74 (6), 585-588, 2012

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (2)*注記

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