書評 山本淳子『私が源氏物語を書いたわけ 紫式部ひとり語り』

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  • ショヒョウ ヤマモトジュンコ 『 ワタクシ ガ ゲンジ モノガタリ オ カイタ ワケ ムラサキシキブ ヒトリ カタリ 』

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抄録

本書は『源氏物語』の作者紫式部の生涯を、彼女の家集(『紫式部集』)・日記(『紫式部日記』)の詠歌や記事をめぐる数々の独自な解釈により立ち上げたものである。その立ち上げに著者山本氏は、紫式部自身の一人称語りによる回想という形をとり、その方法をもって式部像にリアリティを付与することを得ている。 一人称の語りという形は、小説など虚構作品の手法と見なされがちであるが、本書は山本氏の想像による創作ではなく、紫式部をめぐる歴史資料・日本文学・日本史学の成果をふまえてその生涯の立ち上げがなされている。日本文学の成果の中には、山本氏がこれまでの研究において纏められた『紫式部集論』(平成17年、和泉書院)『紫式部の時代一条天皇と后たちのものがたり』(平成19年、朝日新聞社)などのほか、一連の『紫式部日記』をめぐる論考のそれがあることはいうまでもない。 本書は、終章を含めて十四章より成る。以下に各章の概要を、その趣意をふまえながら示す。

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北陸古典研究, 27号, 2012.11, Page 103-109

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