• 峯尾 知宏
    横河電機株式会社 IAプラットフォーム事業本部 P&Wソリューション部

書誌事項

タイトル別名
  • Technological Transition of Quality Control System
  • 「 B/Mケイ 」 ノ ヘンセン

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抄録

B/M計の誕生は1960年代末で,国内では1970年代後半から1980年代にかけて急速に普及が進んだ。B/M計は単なる計測器としてスタートしたが,導入により紙の生産に携わる人々の仕事が大きく変化し「B/M計が抄造を変えた」とまで言われた。現在では紙の製造過程において必要不可欠なシステム製品となっている。<BR>本報では,B/M計の変遷について普及が進んだ後の最近30年間を中心に紹介するが,それ以前の誕生の経緯,およびこれから将来に向けての考察についても触れてみる。<BR>・誕生<BR>B/M計の起源は,約60年前に登場した固定設置の坪量計と水分計である。これらが誕生したころ,オンラインでの幅方向の品質についてはリールにおける巻取り紙をオペレータが直接「触る」ことで確認していた。その後,水分のばらつきを小さくすることを目的として紙が過乾燥気味に生産されるようになると,静電気により直接手で触れる確認が難しくなり,代わって「打音棒」が使われるようになった。しかし,これらの方法はいずれも熟練度によって計測結果に違いが生じたり,非連続の計測であるため効率的とは言えず,流れ方向と同様に連続的に計測する方法が求められた。このような背景から,坪量計と水分計を幅方向に走査(スキャン)可能なフレームに搭載し往復運動させて計測する現在のB/M計のスタイルが登場した。<BR>・そして将来<BR>測定技術については,透気度や紙力など新たな品質を測定するセンサを望む声もあるが,過去30年の変遷から市場は坪量・水分・紙厚を中心とした基本品質を計測する技術の発展の方を強く期待しているように思われる。脱放射線,完全非接触の紙厚測定など,目指すべき新技術はいくつかある。<BR>測定センサの発展と比べて,登場から40年近く変化していない方式に「SCAN走査による測定」がある。この方式ではB/M計は走行中の紙を斜めに計測するため,測定結果のばらつきには流れ方向と幅方向のばらつきが混在している。坪量,水分などを正確かつ安価に全幅同時測定できるようになれば,幅方向と流れ方向の変動の分離が容易になり,現在の測定,制御理論を大きく変える可能性を秘めている。<BR>制御については,さらに多変数化が進むと思われる。たとえば銘柄変更制御は原料替えが伴うと思うように自動化できないことがある。調成まで含めたプロセス情報を用いた制御方式を考える必要である。そのためシステム構成としてはさらにDCSとB/Mの連携が重要になるであろう。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 67 (1), 43-47, 2013

    紙パルプ技術協会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (1)*注記

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