和歌山県産スギ,ヒノキのせん断強度およびめり込み強度

書誌事項

タイトル別名
  • Shear strength and compression strength perpendicular to the grain of sugi (Cryptomeria japonica) and hinoki (Chamaecyparis obtuse) lumber grown in Wakayama Prefecture
  • ワカヤマケンサン スギ,ヒノキ ノ センダンキョウド オヨビ メリコミ キョウド

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抄録

和歌山県産スギ,ヒノキを用いてせん断試験および部分圧縮(めり込み)試験を行い,以下の知見を得た。1. せん断試験について,曲げ方式およびいす型方式の2通りの方法で行った結果,せん断強度の平均値は曲げ方式の場合,スギ天然乾燥材5.67N/mm2,スギ人工乾燥材5.47N/mm2,ヒノキ天然乾燥材7.84N/mm2,また,いす型方式の場合,スギ天然乾燥材4.75N/mm2,スギ人工乾燥材5.51N/mm2,ヒノキ天然乾燥材6.18N/mm2であり,ヒノキの方がスギに比べて高い値が得られた。2. 曲げ方式によるせん断試験では,ヒノキの方がスギに比べてせん断破壊が発生しやすい傾向にあった。3. いす型方式によるせん断試験では,天然乾燥材の方が人工乾燥材に比べて割れの影響によるせん断強度の低下が認められた。4. 密度とせん断強度との関係について,スギの方がヒノキに比べ相関が高かった。これは,ヒノキの方がせん断強度に対して割れの及ぼす影響が大きかったことが一因と考えられる。5. スギの乾燥方法別によるせん断強度値の違いについて,曲げ方式では天然乾燥材の方が,いす型方式では逆に人工乾燥材の方が高い値が得られ,とくにいす型方式では危険率1%の有意な差が認められた。6. 今回のせん断試験における5%下限値は,全ての材種および試験方法において旧建設省の告示に規定される基準強度値(スギ1.8N/mm2,ヒノキ2.1N/mm2)を上回っていた。7. 部分圧縮(めり込み)試験について,材端部加圧及び材中央部加圧の2通りの方法で行った結果,めり込み強度の平均値は材端部加圧の場合でスギ天然乾燥材5.78N/mm2,スギ人工乾燥材5.49N/mm2,ヒノキ天然乾燥材9.20N/mm2超,また,材中央部加圧の場合で,スギ天然乾燥材7.22N/mm2,スギ人工乾燥材7.05N/mm2,ヒノキ天然乾燥材11.57N/mm2であり,ヒノキの方がスギに比べて大幅に高い値が得られた。8. 密度とめり込み強度との関係について,いずれの材種および加圧方式においても有意水準1%の高い相関関係が認められた。9. スギの乾燥方法別によるめり込み強度値の違いについて,材端部加圧および材中央部加圧いずれの場合も天然乾燥材の方が高い値が得られ,とくに材端部加圧の場合,危険率1%の有意な差が認められた。10. 今回の部分圧縮(めり込み)試験における5%下限値について,試験条件が異なる場合には一概に比較できないが,参考として日本建築学会「木質構造設計基準・同解説」に掲載されている片面加圧方式の基準強度と比較した場合,ヒノキは材端部,材中央部ともに基準強度(材端部6.2N/mm2,材中央部7.8N/mm2)を上回っていたのに対し,スギはいずれも基準強度(材端部4.8N/mm2,材中央部6.0N/mm2)に満たなかった。

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