琉球列島および台湾に自生するテッポウユリおよびタカサゴユリ集団の休眠と早期開花性の変異

書誌事項

タイトル別名
  • Variation of Dormancy and Early Flowering Ability in <i>Lilium longiflorum</i> and <i>L. formosanum</i> Populations in the Ryukyu Archipelago and Taiwan
  • Variation of Dormancy and Early Flowering Ability in Lilium longiflorum and L.formosanum Populations in the Ryukyu Archipelago and Taiwan

この論文をさがす

抄録

屋久島(LYA),喜界島(LKI),石垣島(LIS)および台湾の鼻頭角(LPI)に自生するテッポウユリと台湾の烏来に自生するタカサゴユリ(FWU),ならびに福岡(FFU)に野生化して自生するタカサゴユリの休眠および早期開花性の変異を露地圃場および制御温度下において調べた.それぞれの実生を 15℃ で 5 か月間育てた後,露地圃場で 2 年間,あるいはファイトトロンの 15,20,25 および 30℃ ガラス室で 22 週間栽培した.露地圃場における実験では,FWU,FFU および LPI は気温が 30℃ を超えても葉の展開を続け,FFU および LPI ではそれぞれ 90 および 19.7% の個体が 1 年目に開花した.LIS,LKI および LYA の葉の展開はいずれの年でも 6 月初旬から完全に停止し,2 年目にそれぞれ 28,25 および 10%が開花した.制御温度下における実験では,LKI および LYA は 15℃ でのみ葉を展開した.一方,25 および 30℃ でも葉の展開を続けたのは FFU および LPI のみであった.いずれの温度においても FFU が生産した葉および球根が最も重く,球根あたりの鱗片数も最も多かった.これらのことから,琉球列島北部のテッポウユリ集団の休眠は高温により導入されることが明らかになった.また,早期開花性と休眠の間には強い相関が見られ,タカサゴユリの早期開花性は休眠性をなくすか,あるいは減少させることによって得られたものと考えられる.また,この形質の緯度的変異は,琉球列島に自生する両種の地理的勾配に起因すると考えられる.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ