複数の語り手が経験の語りを組み合わせることについて

書誌事項

タイトル別名
  • How Informants Combine Two or More Narratives of Their Experiences
  • 複数の語り手が経験の語りを組み合わせることについて : 会話分析による検討
  • フクスウ ノ カタリテ ガ ケイケン ノ カタリ オ クミアワセル コトニ ツイテ : カイワ ブンセキ ニ ヨル ケントウ
  • A Conversation Analytic Study
  • 会話分析による検討

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抄録

本稿では、人が会話において機会づけられた形で経験を語る様々なやり方のうちで、ある行為主体が経験した(あるいはしていない)複数の事柄が、相互に関連をもつものとして語られる特定の実践を会話分析により記述する。従来の会話分析研究においては、社会成員同士が同じ経験をもつかどうかを調べあうために、ある話題についての同一の/異なった経験を語り合うやり方が分析対象となってきた。これに対し本稿では、ある二者間で同じ経験Aをもつことが明らかになった後に、二者のどちらかが、Aを基点として、別の経験Bを組み合わせて語る現象に着目し、異なった二つ以上の経験の組み合わせを行うための発話連鎖の分析を行う。分析の結果、会話の中で二者が同じ経験Aをもつことが明らかになり、何らかの機会を利用してその内の一方が経験Aに経験Bを結びつけて語ったとき、もう一方は同じ機会を利用して経験Bを語ることにより、経験AとBの組み合わせが規範的に適切なものであり、自分も同じ組み合わせをもって語ることができる社会成員であることを示すことができることが明らかになった。

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