サトウキビ野生種 (Saccharum spontaneum L.) 系統 "Glagah Kloet" のカルスからの植物体再生

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  • Plant Regeneration from Embryogenic Calli of the Wild Sugarcane (Saccharum spontaneum L.) Clone 'Glagah Kloet'

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抄録

サトウキビ野生種(Saccharum spontaneum L.)系統“Glagah Kloet”はサトウキビの高収量品種開発のための育種材料としてその利用が期待される。本研究では,遺伝子組換え技術を軸とした分子育種において本系統の利用を図るため,本系統のカルス培養からの再分化系確立を試みた。当初,これまでに多くのサトウキビ品種・系統のカルス培養系で利用されてきた2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)5mgL–1を単独で含むカルス誘導培地に,幼苗から摘出した茎頂分裂組織を置床したが,体細胞不定胚形成カルスを得るに至らなかった。しかし,同培地にさらに低濃度(0.01mgL–1)のベンジルアデニン(BA)を添加した培地を使用することでカルス形成が促進され,体細胞不定胚形成カルスを得ることができた。このことから,本系統の体細胞不定胚形成カルスの誘導には培地へのBA添加が有効であることが明らかとなった。得られた体細胞不定胚形成カルスを0.3mgL–1ジベレリン(GA)を添加した培地あるいは3gL–1活性炭を加えたホルモンフリー培地に置床することで植物体を再生させることができた。シュートには再生時に使用した培地間で形態的な差が認められ,GA添加培地上で形成されたシュートは葉の色が薄く,細長い形態を示し,軟弱であった。一方,活性炭を添加したホルモンフリー培地上では健全なシュートが多数形成された。このことから本系統の植物体再生には活性炭を添加したホルモンフリー培地が適していることが示唆された。

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