てんかん外科病理学の実際

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  • テンカン ゲカ ビョウリガク ノ ジッサイ
  • Histopathologic Features of Epileptogenic Brain Lesions

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抄録

難治性てんかん患者に対する外科手術が広く行われるようになり, その摘出脳組織に対する病理学的理解が進んできた. そこには, 発生異常, 神経細胞脱落, 腫瘍性病変, 血管異常, 炎症性病変, 組織破壊性病変など, 多彩なetiologyを示唆する所見が認められる. 小児期あるいはそれ以前に発症する症例では, その病態形成に脳の発生異常が深く関与している場合も多い. その代表的病態のひとつである限局性皮質異形成(FCD:focal cortical dysplasia)では, 皮質神経細胞の配列がさまざまな程度に乱れている. 高度の乱れを示す場合には, dysmorphic neuronやballoon cellと呼ばれる異型細胞を伴っている. こうした症例はFCD Type IIと分類されている. 一方, 異型細胞を伴わない場合はFCD Type Iと分類されている. この場合には, 通常, 神経細胞の配列の乱れは軽い. 結節性硬化症の皮質結節や片側巨脳症でも, FCD Type IIの異型細胞に類似した細胞が出現する. てんかん原性病巣の病態理解に向け, 神経生理学や発生学, 更には分子生物学的手法を取り入れた統合的解析が行われている. 神経病理学が果たす役割も大きい.

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