関東中央部における近年の高濃度オキシダントに関わる気候変化の解析

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  • Analysis of climate variations associated with recent trend of photochemical oxidants in the central part of the Kanto region
  • カントウ チュウオウブ ニ オケル キンネン ノ コウノウド オキシダント ニ カカワル キコウ ヘンカ ノ カイセキ

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抄録

関東平野の中央部、東京都と埼玉県の東部を対象に、1990~2010年の7~8月の実測データを用いて、夏季の光化学オキシダント (Ox) 高濃度出現状況の経年的変化について解析した。Ox注意報レベル (120 ppb) を高濃度の目安とした。年ごとの気候の振れの影響を除くため、Ox高濃度の出現しやすい気象条件の一つの典型として、関東南岸から北に向けて海風系が発達する日に注目した。Ox高濃度の日数とともに、海風日に限ってのその出現率も、90年代に比べ2000年以降は急増した。2000年以降の11年間では、高濃度出現率は低下傾向とも見えるものの、高いランクが維持、またはごく緩やかな低減にとどまっている。全般に高濃度日は、弱めの風速では対象領域の南部から中部にかけて、強めの風速では北部から中部にかけて、出現しやすい傾向が確認できた。2000年以降を二期に分けたとき、高濃度がほとんど出現しない強風日が後期に増加し、一方、南部高濃度が出現しやすかった弱風日は減少した。このような高濃度出現地域の傾向的変化に結びつく海風型の出現傾向の年代的変化は、元をただせば東日本をとりまく夏季気圧配置傾向の10年スケールの変動と関連付けられ、より長いスケールの気候変動との関連も疑われる。

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