小児術後癒着性イレウスに対する腹腔鏡下癒着剥離術の経験

書誌事項

タイトル別名
  • The Experience of Laparoscopic Adhesiolysis for Postoperative Adhesive Small Bowel Obstruction in Children
  • ショウニ ジュツゴ ユチャクセイ イレウス ニ タイスル フククウキョウ カ ユチャク ハクリジュツ ノ ケイケン

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抄録

【目的】近年の内視鏡手術の器具や手術手技の進歩に伴い,小児領域においても鏡視下手術の普及が著しく,様々な疾患にその適応は拡大している.2005 年以降当科では,循環動態が安定し気腹操作が可能であると考えられるイレウス症例に対しては腹腔鏡下イレウス解除術を標準術式としている.これまでに腹腔鏡下イレウス解除術を施行した症例のうち,癒着性イレウスに対し腹腔鏡下癒着剥離術を施行した症例を8 例経験したので報告する.<br>【方法】2005 年から2012 年の期間に経験した術後癒着性イレウスに対して腹腔鏡下癒着剥離術を施行した8 例の診療録を,患者背景,手術時間,術後経口摂取開始までの期間,術後入院期間,合併症について後方視的に検討した.<br>【結果】平均年齢は8.4±4.4 歳(3 か月~16 歳),男児4 例,女児4 例であった.8 例中6 例を完全腹腔鏡下で施行した.2 例は腹腔鏡補助下に小切開で手術を行った.1 例で腸切除を必要とした.平均手術時間は118.1±67.9 分,術後経口摂取開始までの期間は3.8±1.6 日,術後平均入院期間は10.0±7.0 日であった.術後合併症はなく,癒着剥離術後のイレウスの再発も認めていない.<br>【結論】術後癒着性イレウスに対する腹腔鏡下癒着剥離術は,開腹癒着剥離術と比較し侵襲が小さいため術後の腸管蠕動運動の回復が速やかであり早期の経口摂取開始が可能である.また,術後に癒着性イレウスの再発は認めておらず,術後癒着性イレウスの再発を防ぐ方法として有用と考えられる.しかし,十分なコンセンサスは得られておらずその適応に関し今後とも引き続き検討が必要である.

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