一側性音響刺激を用いたTRT単独療法の2年以上の長期効果

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タイトル別名
  • Long-term Effects of Tinnitus Retraining Therapy Involving Monaural Noise Generators
  • イチソクセイ オンキョウ シゲキ オ モチイタ TRT タンドク リョウホウ ノ 2ネン イジョウ ノ チョウキ コウカ

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抄録

耳鳴再訓練療法 (tinnitus retraining therapy: 以下,TRT) は, 指示的カウンセリング (directive counseling) と音響療法 (sound therapy) を組み合わせて行う神経生理学的モデルに立脚した治療戦略である. サウンドジェネレータを用いた一側性音響刺激によるTRTの有効性およびその予後因子に関しては, 既にOishiらにより報告されている. しかしながら,2年以上の長期経過に関する報告は国内において存在しない. 海外の文献において, S. Fortiらにより3年間効果を追跡した報告があるが, 世界的には音響療法は両耳刺激が原則とされており, 一側性音響刺激の長期治療成績は報告されていない. そこで, 一側性音響刺激を行ったTRT単独症例について, 2年以上経過を追跡できた33例についてまとめた. さらに3年を超える11例について経過を追跡し, 長期的なTRTの有効性および適切な治療終了時期について検討した. その結果, 一側性音響刺激によるTRTは, 耳鳴の日常生活への支障度を長期的に軽減させることが示唆された. 2年を超えても有効性が継続する傾向にあったが, 3年を超えた症例の中には, 耳鳴が再度重症化する症例が認められた. 順応を促す治療であるサウンドジェネレータを用いたTRTの終了時期に関しては, 一般的に2年程度で終了となることが多いが, 最終的には患者個々の状況に応じて対応する必要がある. 個々の耳鳴患者の診療に当たっては, 患者の状態を耳・聴覚のみでなく総合的に診察し, 集学的な治療を行うという耳鳴診療の要点を外さずに, 的確に対応することが重要であると考えられた.

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参考文献 (13)*注記

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