乳牛における分娩後の蛋白質栄養状態を示す指標としての血中3-メチルヒスチジンの有用性検討

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タイトル別名
  • Evaluation of plasma 3-methylhistidine concentration as an index of protein nutrition in transition dairy cows
  • ニュウギュウ ニ オケル ブンベン ゴ ノ タンパクシツ エイヨウ ジョウタイ オ シメス シヒョウ ト シテ ノ ケッチュウ 3-メチルヒスチジン ノ ユウヨウセイ ケントウ

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抄録

高泌乳牛では分娩後における急激な乳量増加のため、蛋白質供給は非常に重要である。一方、飼料の蛋白質原料は高騰しており、より安価な飼料が求められている。鹿児島県畜産試験場において、効率的牛乳生産技術開発の一環として地域の食品製造副産物を利用し、蛋白質栄養のバランスを考慮した飼料設計を開発する機会を得た。蛋白質の栄養状態を数値で把握するには血液中のBUN (尿素窒素)、TP(総蛋白)やアルブミン等を測定するが、蛋白質の貯蔵庫である筋肉の分解量までは把握できない。アミノ酸の一種である3-メチルヒスチジンは、体蛋白質が分解されると血液中に放出されるが、再利用されない。乳牛における報告例は少ないが、人や他の動物では、筋肉分解の指標となることが認められている。今回、その動態を調査し、乳牛においても分娩前後の蛋白質栄養状態を評価する指標としての有用性を検討した。試験区は3種類の蛋白質水準(CP17、18および19%)と、CP18%にバイパスアミノ酸製剤を添加した試験区を設け、計4区とした。その結果、より高い蛋白質レベルの飼料を給与した場合、3-メチルヒスチジン濃度が有意に低くなることが観察され、筋肉分解の抑制が示唆された。乳牛において分娩後の3-メチルヒスチジン濃度は、蛋白質の栄養状態を敏感に反映する良い指標となる可能性が示唆された。また、食品製造副産物のように栄養(蛋白質、アミノ酸)含量が不安定な飼料原料を用いた時に、その過不足が3-メチルヒスチジン濃度によって敏感に検知できると考えられた。

収録刊行物

  • 家畜衛生学雑誌

    家畜衛生学雑誌 39 (4), 165-171, 2014-02

    武蔵野 : 日本家畜衛生学会

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