アトピー性皮膚炎に合併した未分化大細胞リンパ腫の 1 例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Anaplastic Large Cell Lymphoma (ALCL) Associated with Atopic Dermatitis
  • 症例 アトピー性皮膚炎に合併した未分化大細胞リンパ腫の1例
  • ショウレイ アトピーセイ ヒフエン ニ ガッペイ シタ ミブンカ ダイ サイボウ リンパシュ ノ 1レイ

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抄録

45 歳,男性。15 歳からアトピー性皮膚炎 (atopic dermatitis : AD) と診断され,間歇的に治療を受けていたが,コントロール不良であった。当科初診の 6 カ月前,背部に腫瘤が出現,次第に増加してきた。初診時,全身の皮膚は乾燥し,鱗屑を伴った紅斑,色素沈着,搔破痕が多くみられ,典型的な AD の皮疹を呈していたが,上背部から腰部にかけて紅色の結節・腫瘤を 4 個認めた。生検組織で大型の異型リンパ球が真皮から皮下組織に浸潤していた。免疫組織化学的に腫瘍細胞は CD3,CD4,CD30,CD45RO が陽性,CD8,CD20,ALK は陰性,サザンブロット法で TCR-Cb1の再構成を認め,PET-CT やリンパ節生検でリンパ節や内臓への浸潤を認めないため,AD に合併した原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫 (primary cutaneous anaplastic large cell lymphoma : PCALCL9 と診断した。電子線照射療法を行い,背部 の腫瘤は消退したが,頚部リンパ節の腫大が出現したため CHOP 療法,ESHAP 療法を施行した。一般にPCALCL の予後は 10 年生存率 90%と良好である。しかしながら,本症例では初診から 1 年 9 カ月後に永眠しており,PCALCL における AD の合併は予後不良因子の一つであると考えた。

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 76 (2), 109-114, 2014

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (11)*注記

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