日本の亜熱帯域と温帯域におけるキクメイシ <i>Dipsastraea speciosa </i>(Dana, 1846)の骨格成長

  • 永田 俊輔
    一般財団法人沖縄美ら島財団総合研究センター
  • 杉原 薫
    独立行政法人国立環境研究所生物・生態系環境研究センター
  • 入野 智久
    北海道大学大学院地球環境科学研究院地球圏科学部門
  • 渡邊 剛
    北海道大学大学院理学研究院自然史科学部門
  • 山野 博哉
    独立行政法人国立環境研究所生物・生態系環境研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • Skeletal growth of <i>Dipsastraea speciosa </i> (Dana, 1846) from the subtropical and temperate regions in Japan
  • 日本の亜熱帯域と温帯域におけるキクメイシDipsastraea speciosa(Dana, 1846)の骨格成長
  • ニホン ノ アネッタイイキ ト オンタイイキ ニ オケル キクメイシ Dipsastraea speciosa(Dana, 1846)ノ コッカク セイチョウ
  • Skeletal growth of Dipsastraea speciosa (Dana, 1846) from the subtropical and temperate regions in Japan
  • Skeletal growth of Dipsastraea speciose (Dana, 1846) from the subtropical and temperate regions in Japan

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抄録

琉球列島の南西部に位置する沖縄県西表島(北緯24°25′,東経123°47′)と,九州の北西部に位置する長崎県福江島と若松島および壱岐と対馬(北緯32°39′–34°24′,東経128°39′ – 129°40′)から採集されたイシサンゴの一種であるキクメイシDipsastraea speciosa (Dana, 1846) [= Favia speciosa (Dana, 1846)] の群体骨格の成長パラメータ(伸長量,密度ならびに石灰化量)を測定し,それらの骨格成長と緯度変化に伴う年平均表層海水温との関連を考察した。その結果,亜熱帯域に位置する西表島産キクメイシの年平均密度と石灰化量は,温帯域に位置する長崎県産のそれらより有意に高かったが,伸長量については有意差が認められなかった。伸長量と石灰化量,密度と石灰化量の間には,調査地域全体でそれぞれ正の相関がみられたが,伸長量と密度の間には認められなかった。この結果は,キクメイシと同科に属する大西洋産 Orbicella (= Montastraea) や,キクメイシと同じく太平洋に生息するハマサンゴ属 Porites に関する先行研究結果よりも,大西洋に広く生息するハマサンゴ属の一種Porites astreoides Lamarck, 1816のものに類似していた。Porites astreoides とキクメイシは,それぞれに近縁な種・属に比べて地理的生息範囲が広く,伸長量と石灰化量が低いといった共通の特徴を持つ。日本産キクメイシでは,3つの骨格成長パラメータの中で,石灰化量が年平均表層海水温と最も相関が高かった。このことから,少なくとも日本列島に生息するキクメイシは,年平均表層海水温の緯度勾配に合わせて骨格の伸長量や密度を変えながら,石灰化量を一定に保っている可能性がある。

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参考文献 (31)*注記

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