排便調整困難な高度の慢性機能性便秘症における3D-CT による腰・仙椎の椎弓癒合不全の評価

  • 奥山 直樹
    新潟大学大学院医歯学総合研究科小児外科学分野 新潟県立中央病院小児外科

書誌事項

タイトル別名
  • Evaluation of Vertebral Arch Dysraphism of Lumbar Spine or Sacral Vertebrae by 3D-CT in Children With Severe Chronic Constipation
  • ハイベン チョウセイ コンナン ナ コウド ノ マンセイ キノウセイ ベンピショウ ニ オケル 3D-CT ニ ヨル コシ ・ センシイ ノ シイキュウ ユゴウ フゼン ノ ヒョウカ

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抄録

【目的】慢性機能性便秘症は一般的に予後良好とされ,多くの患児が緩下剤投与や浣腸による排便調整にて改善する.しかし一部に長期に渡る保存的治療に抵抗性の症例がある.これらの症例のなかに高位での椎弓癒合不全を有する症例を多く認めた.排便困難が特に強い患児に対し,脊髄の異常など器質的病変を探す目的で腹部・骨盤CT を施行した.このCT から3D 画像を構築し椎弓の癒合不全を評価した.<br>【方法】2003 年から2011 年にかけ,高度の排便困難にてHirschsprung 病が疑われ当科紹介となった157 例に注腸および直腸肛門内圧検査を施行した.Hirschsprung 病およびその類縁疾患6 例を除く151 例に対し排便調整を行った.浣腸以外に自然排便がなく,排便調整を1 年以上続けても症状が改善しない症例,および遺糞症にて鎮静下摘便を繰り返す20 例(13.2%)を,高度の慢性機能性便秘群とした.腹部・骨盤CT から3D-CT を構築し,椎弓癒合不全が始まる高さを評価した.比較対象は虫垂炎,神経芽腫や腸重積症などにて同時期に腹部CT を施行された非便秘症群29 例とした.<br>【結果】非便秘群の3.4%はL5 以下で,34.5%はS1 以下で椎弓の癒合不全を認めた.これに対して高度慢性機能性便秘群の55.0%はL5 以下で,90.0%はS1 以下で椎弓の癒合不全を認め,有意に高値となった.<br>【結論】高度の慢性機能性便秘群は,有意に高位で椎弓癒合不全が存在する結果となった.

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