小学校3年生の日記における子どもの自己のあらわれ:記号論的アプローチによる探索的考察

書誌事項

タイトル別名
  • Children's Presentational Self in Their Personal Stories: An Exploration of 3rd Grade Students' Writings from a Semiotic Perspective
  • ショウガッコウ 3ネンセイ ノ ニッキ ニ オケル コドモ ノ ジコ ノ アラワレ : キゴウロンテキ アプローチ ニ ヨル タンサクテキ コウサツ

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抄録

本研究は,記号的媒介(semiotic mediation)の考え方から展開されたpresentational self(Komatsu, 2010, 2012)の視点から,子どもの自己をその内面にある実体ではなく,子どもの表現から観察者が感知するものとして捉え,小学校3年生が家庭で書き,それに担任教諭がコメントする形で10カ月間続けられた日記(26名・632篇)から抽出した例を用いて,子どもの自己の読み取りの可能性を論じた。まず,理論的な基礎として,表現における意味を対立的な複合体として捉え得ること,それが時間の中で変容すること,その意味構築過程から読み手に書き手(語り手)の固有の自己が意識されるとする考え方を論じた。次に,予備的な分析を行い,日記の内容や他者への言及の頻度を数量的に示した。その上で,4名の日記(計12篇)から,この年齢の特徴とされる,経験した出来事を順序に沿って書く時系列的表現を基礎にしつつ,そこから,生起した出来事の細部,自身の内面,未来や過去などへの展開がみられることが,書かれた対象との関係における個々の子どもの固有性を読み手に意識させることを例示し,その過程で子どもの周囲の他者への言及が重要性をもつ可能性を論じた。

収録刊行物

  • 発達心理学研究

    発達心理学研究 25 (3), 323-335, 2014

    一般社団法人 日本発達心理学会

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