ブロイラーの趾蹠皮膚炎 : わが国での実態調査を中心に

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タイトル別名
  • Footpad dermatitis in broiler chicken : Factual investigation in Japan
  • ブロイラー ノ シセキヒフエン : ワガクニ デ ノ ジッタイ チョウサ オ チュウシン ニ

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抄録

九州および東北の食鳥処理場5ヵ所において,36農場45鶏群から搬入された8,985羽のブロイラーの趾蹠皮膚炎(FPD)の発生実態を,病変部を4段階スコアで定量し調査した。その結果,全ての鶏群においてFPDが観察され,FPD平均スコアは,雄は雌より,冬は夏よりも高い傾向を示した。しかし,開放鶏舎とウインドウレス鶏舎,あるいは鶏の銘柄間では差を認めなかった。また,農場における週齢別観察では,1週齢の早い時期からFPDの発生が確認された。次に,食鳥処理場のデータをもとに,FPDとブロイラーの出荷成績との関係を統計解析してみたところ,FPDスコアは鶏の廃棄率と正の関係を,生体重と腿肉歩留との間では負の相関を示した。また農場での観察では,含水率の高い敷料で飼育した場合にFPDの発生しやすいこと,FPDの発生した鶏を含水率の低い敷料で飼育するとFPDの悪化を抑制できることが示唆された。FPD病変部を病理組織学的に観察したところ,びらんと潰瘍を認め,潰瘍部の真皮側には細胞浸潤や線維芽細胞の増生をみる慢性化膿性炎が,病変部周囲の表皮には顕著な肥厚が,真皮においては結合組織の増生が,さらに深部の脂肪組織では線維化が顕著に認められた。菌検索では,病変部組織深部からS. lentusおよびS. simulansが優勢に分離された。

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