Community Webプラットフォーム

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抄録

近年普及が進んでいるWeblog,ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)は,個人の存在をWeb上に表出させ,そういった個人間のコミュニケーションを活性化させる働きを持っている.同時に,RSSやFOAFといったメタデータの流通によって,ソフトウェアによる情報の集約や検索,編集が容易になった.このように,Webはコミュニケーションの様式およびそれを支える技術の両面において大きな変化を遂げつつあるが,これらの変化が個人の行動に与える影響については考察がなされておらず,また変化の方向性についての議論も少ない.そこで,本提案では,Webを個人の日常的なコミュニケーションやコミュニティ活動の場として捉え,この機能を有効に支援するための技術的要件および実現可能性について議論を行う.また,モバイル環境やユビキタス環境といった新たな情報技術との統合についても検討する.<br>本提案のもう1つの目的は,セマンティックWebの分野で議論されてきた情報の信頼性に関する問題や,オンラインコミュニケーションの基盤となる意味体系の整備,情報の伝搬範囲のコントロールなどの課題を,コミュニティの成員が日常的に行うローカルな情報の組織化によって解決することである.これにより,従来のトップダウン型・ボトムアップ型の情報処理パラダイムとは異なる情報流通形態を実現する.<br>研究の戦略としては,初期は分析研究と提案研究を個別に進める.分析研究では,WebページやWeblog,掲示板等から抽出可能な人間関係ネットワークについての分析から,個人間のコミュニケーションのモデル化を行う.提案研究では,メタデータ,パーソナルネットワーク,コンテンツマネジメントといった要素技術をもとにシステムを構築し,実証実験等を行う.中期以降はそれぞれの成果を統合した「Community Webプラットフォーム」の提案を中心に,アプリケーションの開発とその有効性の検証を行う.<br>本提案は,すでに起こりつつある技術の変化,ならびにユーザの行動の変化に適応したWebのアーキテクチャを構築することを目標としている.よって,本提案においては,スケーラビリティを含め,実用可能性を強く意識したAI技術の設計に注力し,成果は原則的に一般公開するものとする.

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