当施設におけるgray zone甲状腺乳頭癌への対応―術後合併症の観点から―

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タイトル別名
  • Treatment strategy for patients with gray-zone papillary thyroid carcinoma from the point of postoperative complications
  • トウ シセツ ニ オケル gray zone コウジョウセン ニュウトウガン エ ノ タイオウ : ジュツゴ ガッペイショウ ノ カンテン カラ

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抄録

当院で2012年に初回手術を施行した甲状腺乳頭癌症例の術後合併症を評価し,合併症の観点から適切な手術術式を検討した。全体として反回神経麻痺は症例あたり5.9%に生じたが,一過性および永続性の両側麻痺はなく,また片側麻痺の神経温存例での麻痺の回復率は88.9%であった。副甲状腺機能低下症は退院時に51.0%の症例で生じていたが,術後3カ月で6.5%,術後1年で2.0%まで低下しており,1年以上の永続症例はすべて少量の活性型ビタミンD製剤のみで良好にコントロールされていた。一方で片葉切除例での甲状腺機能低下症の発症率は38.9%で,片葉切除例であっても比較的高率に甲状腺ホルモン剤を内服していた。以上のことから,片葉切除を施行しても甲状腺機能低下症が予想される場合は甲状腺全摘を手術術式として選択してもよいと考えており,その点も考慮した当院の術式選択の境界(グレーゾーン)はT1とT2の間であった。

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