江戸川区小松川の工場跡地付近における6価クロムの長期高レベル漏出

  • 尾崎 宏和
    東京農工大学大学院物質循環環境科学専攻環境汚染解析学
  • 大野 由芙子
    東京農工大学大学院物質循環環境科学専攻環境汚染解析学
  • 一瀬 寛
    東京農工大学大学院物質循環環境科学専攻環境汚染解析学
  • 渡邉 泉
    東京農工大学大学院物質循環環境科学専攻環境汚染解析学

書誌事項

タイトル別名
  • Long-term and high level leaching of hexavalent chromium in the vicinity of the remaining site of a factory in Komatsugawa, Edogawa-ku, Tokyo
  • エドガワク コマツガワ ノ コウジョウ アトチ フキン ニ オケル 6カ クロム ノ チョウキ コウレベル ロウシュツ

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抄録

江戸川区小松川1丁目では,2011年3月に,高濃度のCr6+を含む液体が路面に漏出した。本研究では,その後の実態を長期的に調査するため,2013年1月より,現地に設置されている雨水ます内の滞留水を毎月採取し分析した。その結果,数十mg/L以上の高濃度のCr6+を含み,鉱さいで報告される強アルカリと合致するpH10以上の滞留水がほぼ毎回認められ,継続的なCr6+漏出が示された。ただし,Cr6+の濃度レベルと月変動の傾向は雨水ますごとに異なっており,漏出分布は埋め立てられたCr6+鉱さいの数mの範囲内で存在すると推測された。2011年3月の漏出水ではCr6+の他Cu,Zn,Cd,Pbなどの各種重金属元素にも高濃度が認められ,2013年以降の試料では電気伝導度とCr6+濃度は比例的に増加した。したがって,鉱さいからはCr6+だけでなく多種の有害物質が放出されている可能性が高いと考えられた。汚染源となる鉱さいの特定と漏出の化学的メカニズムの検討,合流式下水道を通じた河川や海洋への放出実態の定量化など,検討課題は多く残されており,現地調査を継続しつつ,関係諸機関と協力して問題を解決することが求められる。

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