有痛性転移性精索腫瘍に対し高位精巣摘除術により症状改善を認めた症例

書誌事項

タイトル別名
  • SUCCESSFUL INGUINAL ORCHIECTOMY IN A PATIENT WITH A PAINFUL METASTATIC SPERMATIC CORD TUMOR: A CASE REPORT
  • 症例報告 有痛性転移性精索腫瘍に対し高位精巣摘除術により症状改善を認めた症例
  • ショウレイ ホウコク ユウツウセイ テンイセイセイサクシュヨウ ニ タイシ コウイセイソウテキジョジュツ ニ ヨリ ショウジョウ カイゼン オ ミトメタ ショウレイ

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抄録

症例は71歳,男性.右陰嚢腫大にて当科受診し,右精索に硬結を認め,右精索腫瘍が疑われた.精査目的で施行された腹部造影CTにて,膵尾部に約4cmの腫瘤像と肝S6に低吸収域を認め,また,血清CA19-9 135.7U/mlと高値も認めたため,消化器内科へ紹介したところ膵癌肝転移と診断された.精索腫瘍は経過観察となり,膵癌に対してgemcitabine及びerlotinibによる併用化学療法開始となったが,3クール施行後のCA19-9は744.0U/mlと化学療法に反応せず上昇した.経過中,右陰嚢痛及び右鼠径部痛が出現し,薬剤でのコントロールも難しくなったため,右高位精巣摘除術施行.右精索は精巣上体から内鼠径輪まで硬結をきたしており,内鼠径輪近傍の腹膜上にも結節を触知したため,腹膜を一部含み切除した.硬結部は白色腫瘤性病変から成っており,病理診断は膵癌精索転移及び腹膜播種であった.術後,疼痛は鎮痛剤不要となるまで改善された.本症例は膵癌肝転移に腹膜播種,精索転移を合併した非常に稀な症例であり,精索転移による難治性疼痛に対して外科的切除が有効であった.膵癌を原発とする転移性精索腫瘍は,我々が調べ得た限りにおいて本邦14例目の報告である.

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