追肥窒素時期の違いが秋まき小麦「きたほなみ」の穂数・子実収量・子実タンパクおよび施肥窒素利用率に及ぼす影響

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  • Effect of timing of additional N fertilization on spike number, grain yield, grain protein and N use efficiency of winter wheat cultivar 'Kitahonami'

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抄録

北海道における秋まき小麦新品種「きたほなみ」は多収である一方,茎数過多によって倒伏しやすいことと,低タンパクとなりやすいことから,窒素追肥法の最適化を図る必要がある。したがって,著者らはこれらの問題の回避を主眼として,起生期および幼穂形成期について,窒素追肥時期の違いを比較した。さらに,幼穂形成期・止葉期・開花期について窒素追肥時期の違いを検討した。幼穂形成期の窒素追肥は,起生期の窒素追肥に比べて茎数・穂数の増加を抑制するだけでなく,減収を伴わずに収穫指数(HI)や一穂粒数および子実タンパクを増加させた。このことから,「きたほなみ」のような茎数過多や低タンパクになりやすい秋まき小麦品種には,起生期追肥よりも幼穂形成期追肥がより適することが示唆された。さらに,幼穂形成期・止葉期・開花期について窒素追肥時期の違いを比較した結果,「きたほなみ」の施肥反応の特徴として以下の3点が明らかになった。(1) 早期の窒素追肥には茎数・穂数の過多を助長し倒伏のリスクを高める傾向がある。(2) 後期の窒素追肥には過繁茂を助長する傾向はない。(3) 後期の窒素追肥の窒素利用率は高く,千粒重,容積重および子実タンパクを高める傾向がある。以上の結果は,「きたほなみ」のような生育後半の過繁茂と低タンパクを引き起こしやすい品種に対して効果的な窒素施肥法を構築する際の参考になると考えられる。

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