水稲栽培でリン酸の施用は必要か? : Rb吸収量を指標とした根系の生理活性評価を含めて

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  • スイトウ サイバイ デ リンサン ノ シヨウ ワ ヒツヨウ カ? : Rb キュウシュウリョウ オ シヒョウ ト シタ コンケイ ノ セイリ カッセイ ヒョウカ オ フクメテ

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抄録

1982年から継続して水稲(品種: コシヒカリ)の三要素試験を行なっている富山県農業試験場の圃場において,2000年から2003年にわたり水稲の地上部・地下部成育量を調査した。また,出液速度,出液中に含まれるサイトカイニン(t-ZR)含有量および根系からのRb吸収量を指標とした根系の生理活性評価を行なった。無P区および無K区の収量,根乾重は三要素区と差がなく同程度であった。根系の生理活性は,根系からのRb吸収量,出液速度および出液に含まれるサイトカイニン含有量を指標として評価したが,いずれについても無P区と三要素区の間に有意差は認められなかった。よって,少なくとも北陸地域における水稲栽培ではリン酸の施用は必要ないと考えられた。また,無K区のRb吸収量は他の試験区より有意に高かった。Rbの代わりにNaを注入し吸収されたNa量を定量すると,無K区ではNa吸収量が著しく多くなった。RbとNaおよびKは同じ吸収チャンネルに属する元素であることから,無K区にRbを注入した場合にはKの代替としてRbの吸収量が多くなったものと考えられた。Rb吸収量を指標として根系の生理活性を評価する場合には,土壌のK含有量も定量する必要があることが注意点として示された。

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