14歳女児にみられた上顎第一,第二大臼歯埋伏の1例 第2報 : 18歳での自然萌出

  • 原田 祥二
    原田歯科 北海道大学大学院歯学研究科口腔健康科学講座予防歯科学教室
  • 佐藤 嘉晃
    北海道大学大学院歯学研究科口腔機能学講座歯科矯正学教室
  • 藤田 真理
    北海道医療大学歯学部口腔生物学系微生物学分野
  • 本多 丘人
    北海道大学大学院歯学研究科口腔健康科学講座予防歯科学教室
  • 森田 学
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Impacted Maxillary Right First and Second Permanent Molars in a 14-year-old Girl Second Report : Natural Eruption at the Age of 18 Years
  • 症例報告 14歳女児にみられた上顎第一,第二大臼歯埋伏の1例(第2報)18歳での自然萌出
  • ショウレイ ホウコク 14サイ ジョジ ニ ミラレタ ジョウガク ダイイチ,ダイニ ダイキュウシ マイフク ノ 1レイ(ダイ2ホウ)18サイ デ ノ シゼンボウシュツ

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抄録

 われわれは先に14歳女子にみられた上顎右側第一,第二大臼歯埋伏の1例を経験し,学校歯科健診の観点からその概要を報告したが,本人家族の意向により治療が開始されることなく経過していた.その後,18歳3か月で第一大臼歯が,その3か月後に第二大臼歯が自然萌出し始め,19歳7か月には咬合に関与するまでに萌出していた.臨床所見および画像所見からは埋伏あるいは萌出遅延の明らかな原因は認められなかったが,遅延して萌出した理由として埋伏歯の歯胚の形成遅延や埋伏歯を被覆する軟組織中の過誤腫病変の存在が最も疑われた.しかし,患者は幼少時より口腔衛生状態が良好であり歯科を受診する機会が少なかったため歯胚の形成過程を確認できる画像はなく,また,開窓などの埋伏歯に対する治療がなされないまま経過していたため詳細は不明であり,埋伏から遅延して萌出した一連の機序を合理的に説明し難い症例であった.当院では口腔の健康管理に努める一方,矯正歯科医による専門的治療の必要性を説明したが,主に経済的理由と遠方に居住のため矯正歯科への通院が容易でないことから両親の理解が得られなかった.埋伏歯が萌出した現在,結果的には患者は自覚的症状なく,機能的にも支障なく日常生活を送っているが,かかりつけ歯科医にとっては対応に苦慮した口腔健康管理例でもあった.

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