電気探査法によるロックフィルダム初期湛水時の浸透水のモニタリング

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タイトル別名
  • Monitoring groundwater flow using the electrical method at a rock-fill dam during first filling
  • デンキ タンサホウ ニ ヨル ロックフィルダム ショキタンスイジ ノ シントウスイ ノ モニタリング

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抄録

 近年,巨大地震や地球温暖化に伴う大型台風や局地的な集中豪雨などによる自然災害が激甚化する中で,既設構造物を効率的かつ的確に維持・管理する必要性が高まっている。特に,大規模構造物となるダムに対しては,強い地震動に対する堤体の変形による遮水機能の健全性を評価する必要があり,長期間にわたり堤体全体の湛水の浸透状況をモニタリングできる手法を確立することが重要である。著者らはフィルダムにおいて初期湛水開始前および湛水終了後にそれぞれ1回の電気探査測定を行うと共に,堤体材料による室内試験を行った。その結果,湛水開始前に対し湛水終了後に比抵抗が-75%まで低下した領域が上流側のロック材域に集中していることがわかった。一方,湛水終了後のコア材域の一部に比抵抗が-40%に低下した個所が見られたが,下流側ロック材域の表層以外では比抵抗の変化は-20~5%の範囲を示した。また,室内試験より堤体材料の比抵抗は飽和度の変化が最も支配的となり,飽和度が20%から100%に増加すると比抵抗は-80%まで低下した。これらの結果は湛水開始前後の飽和度の分布を比抵抗の変化として可視化できることを示している。以上より,電気探査法はフィルダム内部への湛水の浸透状況をモニタリングするのに有効であり,近い将来の巨大地震に対する堤体全体の遮水性の健全性評価に適用できる可能性が示された.<br>

収録刊行物

  • 物理探査

    物理探査 68 (3), 189-199, 2015

    社団法人 物理探査学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (5)*注記

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