書誌事項
- タイトル別名
-
- Plant Transposable Elements and Their Application to Genetic Analysis via High-throughput Sequencing Platform
この論文をさがす
抄録
トランスポゾンは真核生物のゲノム中に存在する可動性因子である.その構造および転移機構により二種類(class I;レトロトランスポゾン,class II;DNA 型トランスポゾン)に分けられる.トランスポゾンは真核生物ゲノムの主要な構成要素であり,特にレトロトランスポゾンは植物ゲノムの大部分を占める.多数のレトロトランスポゾン挿入配列はゲノム全体に散在しており,また安定して遺伝する.そのため,農作物品種間における挿入多型は DNA マーカーとして利用されている.最近,私たちは次世代シーケンス(NGS)技術を利用することにより,品種間で高い挿入多型を示す LTR 型レトロトランスポゾンファミリーを効率的に同定する手法を確立した.この手法は,5'LTR 配列に近接し,異なる LTR 型レトロトランスポゾンファミリー間でも保存性の高い PBS(Primer Binding Site)配列に注目している.この PBS 配列を利用した NGS ライブラリーの構築により,ゲノム中に存在する多数の LTR 配列およびそれら挿入配列を同定した.これら配列を用いたデータ解析により,近縁品種間でも高い挿入多型を示す LTR 配列を抽出した.また,NGS を利用することで,これらレトロトランスポゾンファミリーのゲノムワイドな挿入箇所を多数の品種に関して同定した.これら挿入箇所の情報は,品種間の類縁関係の解明および品種判定用 DNA マーカーの開発に有用であった.私たちの研究結果は,これらレトロトランスポゾン挿入部位のターゲットシーケンスにより,全ゲノム配列情報が無い生物種においても,効率的に遺伝子型解析およびマーカー開発が可能であることを示した.本記事では,トランスポゾンのゲノム構造および進化的側面に関して解説,またレトロトランスポゾンの挿入多型に基づいたマーカー開発に関しても紹介する.
収録刊行物
-
- The Horticulture Journal
-
The Horticulture Journal 84 (4), 283-294, 2015
一般社団法人 園芸学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390282680736163072
-
- NII論文ID
- 130005105348
-
- NII書誌ID
- AA12708073
-
- ISSN
- 21890110
- 21890102
-
- NDL書誌ID
- 026813044
-
- 本文言語コード
- en
-
- データソース種別
-
- JaLC
- NDL
- Crossref
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可