ニホングリにおける家畜ふん堆肥を通じた窒素の施用が耐凍性に及ぼす影響

  • 阪本 大輔
    農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
  • 井上 博道
    農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
  • 草塲 新之助
    農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
  • 杉浦 俊彦
    農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
  • 森口 卓哉
    農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所

書誌事項

タイトル別名
  • The Effect of Nitrogen Supplementation by Applying Livestock Waste Compost on the Freezing Tolerance of Japanese Chestnut

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抄録

地球温暖化に伴い,クリにおいて新植樹の凍害による枯死事例が各地で頻発している.今回,凍害発生の要因を明らかにするために,家畜ふん堆肥を通じた窒素施用が新梢内の炭水化物含量,水分含量および窒素含量に及ぼす影響を調査するとともに,自発休眠と耐凍性の関係についても調査を行った.過剰な家畜ふん堆肥を施用することにより,耐凍性は明らかに低下し,一年生枝の糖含量は家畜ふん堆肥を施用しない区では高い傾向が認められたが,有意な差は認められなかった.一方,一年生枝の水分含量および窒素含量は家畜ふん堆肥を施用することにより,高い状態が維持された.また,家畜ふん堆肥を施用することにより,萌芽率が 70%に達した日は 1 か月以上遅れたが,萌芽の開始は早まる傾向にあったことから,正常な自発休眠のステージ進行を阻害している可能性が考えられた.以上の結果より,過剰な家畜ふん堆肥の施用により,秋冬期における樹体内水分含量および窒素含量が高くなることにより,正常な自発休眠のステージ進行を阻害し,その結果として厳冬期においても十分に耐凍性が高まらない可能性が示唆された.

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参考文献 (11)*注記

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