絶滅危惧種ヒヌマイトトンボの保全における中水利用の可能性

書誌事項

タイトル別名
  • Availability of Treated Water for a Threatened Species Compensatory Mitigation Project, <i>Mortonagrion hirosei</i>
  • ゼツメツ キグシュ ヒヌマイトトンボ ノ ホゼン ニ オケル チュウ ミズリヨウ ノ カノウセイ

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抄録

生物多様性維持と水資源の有効利用の両側面から,処理水を使った保全技術の確立が現在急務とされる.本研究では,絶滅危惧種ヒヌマイトトンボの生息地の保全(代償ミチゲーション)を対象として,処理水の利用が本種の個体群に与える影響を明らかにした.調査は三重県伊勢市の宮川浄化センター内に創出された生息地の生息環境と個体群サイズについて,2006年(上水使用)と2007年(中水使用)の比較を行った.その結果,2007年のヒヌマイトトンボの生息環境は2006年とほぼ同様に好適に維持され,個体群サイズも前年と同等であることが確認された.したがって,ヒヌマイトトンボの生息地の創出に対して少なくとも短期的には中水を利用しても問題がないことが示唆された.一方で本種の生息環境を形成するヨシやヒヌマイトトンボの餌資源に対しては,中水の影響が遅れて現れる可能性が考えられる.このため,今後も継続した環境のモニタリングの必要がある.

収録刊行物

  • 環境技術

    環境技術 44 (10), 557-567, 2015

    環境技術学会

参考文献 (11)*注記

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