3~5歳にかけての乳歯のう蝕発生の予測要因についてのコホート研究

  • 山本 未陶
    福岡歯科衛生専門学校 福岡歯科大学社会医歯学部門口腔保健学講座口腔健康科学分野
  • 八木 稔
    新潟大学大学院医歯学総合研究科口腔生命福祉学講座口腔保健学分野
  • 筒井 昭仁
    NPO法人ウェルビーイング
  • 中村 譲治
    NPO法人ウェルビーイング
  • 松岡 奈保子
    NPO法人ウェルビーイング
  • 埴岡 隆
    福岡歯科大学社会医歯学部門口腔保健学講座口腔健康科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Cohort Study to Investigate Factors Predicting Prevalence of Dental Caries in Deciduous Dentition from 3 to 5 Years of Age
  • 3~5サイ ニ カケテ ノ ニュウシノウ ショクハッセイ ノ ヨソク ヨウイン ニ ツイテ ノ コホート ケンキュウ

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抄録

 本研究の目的は3歳から5歳までの間に発生した乳歯のう蝕の予測に関連する要因をコホート研究にて明らかにすることである.対象は2004年に福岡県内7施設の保育所・幼稚園に通う満3歳児185名とし,3歳時に保護者へ実施した自記式質問紙調査結果および3歳時と5歳時の定期歯科健康診断結果が確認できた151名(男児78名,女児73名)を解析対象とした.乳歯う蝕有病者数は3歳時が53名(35.1%),5歳時には84名(55.6%)に増加した.2年間に新たな乳歯う蝕が発生した者は75名(49.7%)であった.乳歯う蝕経験歯数(dft)の増加の有無と,質問紙調査項目および3歳時のdftの有無それぞれとの間で二変量のχ^2検定を行い,p<0.2であった項目を説明変数として,う蝕有病状況に応じた次に示す二通りの多変量ロジスティック回帰分析を行った.まず,全員を対象とする多変量解析モデルでは説明変数として3歳時にdftあり(odds比10.7,95%CI 4.54〜25.48,p<0.001)のみが選択された.つぎに,3歳時の非う蝕有病者98名(64.9%)を対象とするモデルでは説明変数として歯磨剤の使用なし(odds比2.7,95%CI 1.10〜6.76,p=0.030)のみが選択された.3〜5歳の乳歯う蝕発生には3歳時点でのう蝕経験の有無が影響しており,3歳までの乳歯う蝕予防が重要である.本研究でみられた歯磨剤によるう蝕予防効果は,配合されているフッ化物によるものと思われた.よって,3歳以降の乳歯う蝕有病率の増加抑制には3歳以前からのフッ化物配合歯磨剤の使用が有効と考えた.

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