除塩対策に関する基礎情報 : 1.溶質移動の基礎と除塩(進歩総説: 津波被災農地土壌の実態調査と除塩対策)

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タイトル別名
  • Fundamental information about measures of desalinization : 1. Fundamentals of solute transport for desalinization(Progress Review: Tsunami affected farmland)
  • 溶質移動の基礎と除塩
  • ヨウシツ イドウ ノ キソ ト ジョエン

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抄録

津波被災地では,農地に海水が多量に侵入したため,その塩分を取り除く除塩作業が必要となった。除塩は,土壌中における高濃度のイオンを効率的に移動排出させることが目的である.したがって,溶質移動の基礎知識が除塩を効果的に進める上で役立つ.ここでは,津波被災後の除塩を行う際の要点について述べ,その基礎となる溶質移動について解説する.また,海水中に多量に含まれるナトリウム(Na)が土壌に吸着すると,真水で洗脱する過程で土壌が膨潤分散しやすくなり,透水性の低下を招いて除塩作業を停滞させ,作物の生育にとって良好でない土壌構造となることがある(「6.ナトリウム吸着」を参照).そこで,Naの吸着についても触れる.溶質移動の基本メカニズムは,溶媒である水に運搬される移流と,分子のランダムな熱運動に起因する拡散である(「5,拡散」を参照),大量の塩水は,移流によって農地の外へ運び出されるが,その際に,土壌中のほとんどを占める透水性の低い微細間隙からは,拡散によって水の流れ道である粗間隙中へ排出される.どちらも除塩に不可欠な動きである.除塩に限らず,土壌中の吸着や生体中での生合成等の諸反応は,物質の拡散による反応位置への衝突が出発点となって引き起こされるため,拡散は自然現象を理解する基本でもある.ここでは,その重要な拡散についても詳しく記述する.

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