サンヤクとブクリョウ投与後に生じた赤芽球癆と低ガンマグロブリン血症

書誌事項

タイトル別名
  • Pure red cell aplasia and hypogammaglobulinemia after administration of Dioscorea rhizome and Poria cocos
  • 症例報告 サンヤクとブクリョウ投与後に生じた赤芽球癆と低ガンマグロブリン血症
  • ショウレイ ホウコク サンヤク ト ブクリョウ トウヨ ゴ ニ ショウジタ アカ ガキュウロウ ト テイガンマグロブリン ケツショウ

この論文をさがす

抄録

症例は56歳女性,貧血精査で紹介となり網状赤血球の著明な低下,骨髄血での赤芽球数の著明な減少を認め赤芽球癆と診断した。また,免疫グロブリンの著明な低下を認めていたが免疫電気泳動では血中,尿中に単クローン性蛋白を認めなかった。骨髄穿刺,骨髄生検では形質細胞の増殖を認めず,CTで溶骨性病変や腫瘤形成は認めなかったため多発性骨髄腫は除外された。薬剤性赤芽球癆の可能性を考え紹介元の病院で処方されていた漢方薬を中止したところ,中止7日後には網状赤血球数とヘモグロビン濃度の増加傾向を認め,中止73日後にはヘモグロビン濃度とIgGは基準範囲となった。被疑薬はサンヤクまたはブクリョウが最も考えられた。これまでに漢方薬による赤芽球癆の報告はなく,低ガンマグロブリン血症の報告もない。漢方薬内服中の患者における赤芽球癆や低ガンマグロブリン血症においては,薬剤によるものを鑑別する必要がある。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 56 (11), 2324-2328, 2015

    一般社団法人 日本血液学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ