左中大脳動脈灌流域梗塞後 右片麻痺無認知による特異な道具使用の障害を呈した症例

書誌事項

タイトル別名
  • 症例報告 左中大脳動灌流域梗塞後右片麻痺無認知による特異な道具使用の障害を呈した症例
  • ショウレイ ホウコク ヒダリ チュウ ダイノウドウカンリュウイキ コウソク ゴ ミギ ヘンマヒ ムニンチ ニ ヨル トクイ ナ ドウグ シヨウ ノ ショウガイ オ テイシタ ショウレイ

この論文をさがす

抄録

左中大脳動脈領域の皮膚枝梗塞により重度右片麻痺、失語症、観念運動失行、片麻痺無認知などを呈した非典型的半球側性化を示す症例を報告した。本症例の行為障害は道具の使用部分(ポットの取っ手など)を右手側に向けて提示すると生じ、左手側では生じなかった。これらの特異な道具使用の障害は、左手で操作するよう教示されているにも関わらず完全麻痺の右上肢で客体を操作、あるいは両手で操作しようとした結果生じているように観察された。これらの症状は非典型的半球側性化により軽度の観念失行と行動上の右片麻痺無認知を同時に有していたことで出現した可能性がある。また、右上肢への運動幻覚の関与も考えられ、片麻痺無認知と運動幻覚の関連性を示唆する症例である。非典型的半球側性化症例を神経心理学的に詳細に検討することは、より柔軟な高次大脳機能の理解に役立つと考えられた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ