日本と韓国における養子制度の発展と児童福祉 : 社会的養護としての養子縁組を考える

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タイトル別名
  • The Evolution of Child Adoption and Child Welfare Policies in Japan and Korea
  • ニホン ト カンコク ニ オケル ヨウシ セイド ノ ハッテン ト ジドウ フクシ : シャカイテキ ヨウゴ ト シテ ノ ヨウシ エングミ オ カンガエル

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抄録

養子縁組とは血縁に依存せず法的に親子関係を創出する制度であり,家庭に恵まれない児童が新たに恒久的な家庭を得る唯一の方法である.しかし,韓国では養子制度が児童福祉に重要な役割を果たしているのに対して,日本では児童福祉政策としての機能をほとんど果たしていない.本研究では「なぜ日韓では社会的養護としての養子縁組の位置づけが大きく異なるのか」という問いを立て,政府統計を駆使して比較可能な長期統計を作成し,両国における制度発展の歴史的経路を明らかにする.分析の結果によると,日本と韓国は戦後の混乱期に児童福祉制度の近代化を図った点で似たような初期条件にあった.しかし,国家の財政力などの違いから発展経路が分かれ,韓国では外国援助団体と政府機関の連携の下に要保護児童対策における養子縁組の役割が拡大していったのに対して,日本では民間事業者と政府機関の連携の下に施設養護が主流となり,養子法の改革が遅れ,現在に至るまで養子縁組は児童福祉として積極的に活用されていない.

収録刊行物

  • 経済研究

    経済研究 67 (1), 26-46, 2016-01-26

    岩波書店

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