リンゴにおける摘葉剤を用いた高品質果実の省力生産方法

  • 岩波 宏
    独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所リンゴ研究拠点
  • 守谷(田中) 友紀
    独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所リンゴ研究拠点
  • 花田 俊男
    独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所リンゴ研究拠点
  • 本多 親子
    独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所リンゴ研究拠点
  • 和田 雅人
    独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所リンゴ研究拠点

書誌事項

タイトル別名
  • Labor-saving Production of Apple with Red Coloration and Marked Eating Quality by Effective Use of a Chemical defoliant
  • リンゴ ニ オケル テキヨウザイ オ モチイタ コウヒンシツ カジツ ノ ショウリョク セイサン ホウホウ

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抄録

着色がよい付加価値の高いリンゴを省力的に生産するための,摘葉剤を利用した栽培方法を検討した.着色管理で最も労力のかかる葉摘み作業を摘葉剤で代用するためには,摘葉剤で安定的に目的とする枚数の果そう葉を落とす必要がある.摘葉剤処理翌日から処理後3日目までの最高気温の平均値が高いほど落葉は多くなり,最高気温の平均値が27°Cの時が最も効果的であった.‘ふじ’における摘葉剤の処理適期は試験地(盛岡市)では収穫2か月前という,慣行の葉摘み開始時期より早い時期であった.葉摘み枚数が多いほど着色は向上したが,収穫2か月前の葉摘みでは,葉摘み後に樹全体の葉果比が小さくなると果実の糖度は低くなった.一方,‘ふじ’のみつ入りは,収穫2か月前の葉摘みの影響は見られなかったが,1か月前の葉摘みでは,葉摘みにより葉果比が小さくなるとみつが入りにくくなった.葉摘み後の葉果比が60であれば,葉摘みによる果実品質への悪影響は見られなかった.従って,摘葉剤を使用して早期に葉摘みを実施する場合は,落葉後の葉果比が60となるようにあらかじめ着果量を制限しておくことで,着色のよい高品質な果実を生産できることが明らかとなった.また,摘葉剤を使用することで,労働時間が60%削減されると推定された.

収録刊行物

  • 園芸学研究

    園芸学研究 15 (1), 29-37, 2016

    一般社団法人 園芸学会

被引用文献 (3)*注記

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参考文献 (2)*注記

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